野﨑洋光
筍、うど、菜の花のほろ苦さと香りを楽しむ
口伝
あさり春五目うどん
うどんの中に塩分が含まれていますので、下味がついているために甘味は入れずに素材の味を食べます。
一般的なカツオや昆布の出汁を使うのではなくて、「あさり」の出汁で旨味を活かした「うどん」を作ります。
うどんを作る
ボウルの砂抜きをした「あさり」に「水」を入れて〝塩抜き〟をします。
これは「あさり」が砂抜きのため塩水を含んでいるため、料理が塩っぱくならないようにするためですので、必ずこの〝塩抜き〟をしてください。
塩抜きをした「あさり」を鍋に入れて、4cmから5cmの「昆布」、600ccの「水」を加えて、水の状態から沸騰させて「あさり」の口が開いたら出汁が出ていますので火を止めます。
「菜の花」は、100度で茹でてしまうと酵素が死んでしまいますので、80度の温度の湯の中で1分から1分半茹でます。
茹でる湯の中には1.5%ほどの「塩」を入れて茹でます。
この下味をつけることによって、野菜本来の旨味を感じることができます。
「菜の花」が茹で上がりましたら、水の中に入れて粗熱をとってから軽く絞ります。
これで、「菜の花」のほろ苦さと辛味が出てきます。
「うど」は皮を厚めに剥いてから、4分の1程度に切り分けます。
切った皮は〝きんぴら〟などに使うことができます。
アクを抜き下ゆでした「筍※」を食べやすい大きさに切り分けます。
※筍のアク抜きと下ゆでの方法はこちらをご覧ください。
「あさりと出汁」の入った鍋に「薄口醤油」「日本酒」を入れます。
この料理には甘味は使いません。
鍋に「筍」「うど」と「うどん」を入れて、アクを取りながらひと煮立ちさせたら「菜の花」を器に入れます。
すりおろした「しょうが」を天盛りで添えれば出来上がりです。
あさりの澄んだスープの味と春の息吹の味、筍・うど・菜の花のバランスがとれた品の良い〈あさりの春五目うどん〉の完成です。
材料〈2人前〉
材料 |
うどん(ゆでたもの)2玉/あさり(砂抜きしたもの)300g/菜の花 4本/うど 40㎝/新竹の子(1㎝薄切り、下ゆで済み)60g/水 3カップ/昆布(4~5㎝) 1枚/うす口しょうゆ 大さじ2/酒 小さじ2/おろししょうが 適量 |
作り方
① 砂抜きしたあさりは、殻ごとこすり洗いしてボールに入れ、水に3分ほど浸けてから水気をきる。
② 鍋に、①のあさり、昆布、分量の水を入れてに火かける。あさりの口が開いたら火を止め、アクを取り除く。
③ 菜の花は根元のかたい部分を切り落とし、1.5%の塩(分量外)を加えた約80℃の湯で1~1分半ゆで、冷水にとってから水気を絞る。うどは皮を厚めにむき、四つ割りにして水にさっとくぐらせ、水気をきる。
④ ②の鍋から昆布を取り除き、うす口しょうゆ、酒、筍、うど、うどんを入れて火にかける。煮立ったらアクを取り除き、菜の花を加えてひと煮立ちしたら器に盛り、おろししょうがを乗せる。
◆あさりは砂抜きしたあとに水に浸けて塩水を吐かせる。塩水が残っていると塩辛くなってしまう。
◆アブラナ科の野菜である菜の花は80℃程度のお湯で1~1分半ゆでると酵素が失われず、素材そのものの味が生き、1.5%の塩分を加えることで下味がついて旨味をより感じられるようになる。
◆うどの皮は、きんぴらなどに使うとよい。
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