「オトワレストラン」
音羽 創
みかんの皮を丸ごと使うのがポイントです。
口伝
真鯛のポワレ みかんのビネグレット
真鯛をポワレして、みかんのビネグレットソース※を作ります。
※ヴィネグレットソース sauce vinaigrette_油と酢vnaigreを混ぜたソースでフランス料理の基本的なサラダドレッシングなため、英語ではフレンチドレッシングとも呼ばれる。
みかんのソースというと冒険的なソースだとお感じかもしれませんが、作り方も簡単で鶏肉や豚肉、白身の魚を焼いたものにも相性が良く使いやすいソースです。
季節のみかんの甘酸っぱさをソースにして色々な形にしてお楽しみいただけたらと思います。
ビネグレットソースを作る
最初に「みかん」のヘタを取って皮をむいてください。
鍋に沸いた湯でサッと茹でます。
「みかん」の皮の強すぎる苦味を和らげるために火を通します。
皮の部分に香りがありますので、あまり茹で過ぎないように20秒から30秒ほど鍋に入れます。
「みかん」の皮にはワックスなどが付いていることがありますので、使う前にしっかりと落とすようにしてください。
茹で上がりましたら、バーミックスやミキサーに茹でた「みかん」の皮と、実をほぐしながら入れ「ディジョンマスタード」「塩」「砂糖」「赤ワインビネガー」「レモン汁」「米油」を加えて撹拌します。
「みかん」の甘さや酸味によって「砂糖」や「レモン汁」の分量を調整してください。
「ソース」が滑らかになりましたらザルで濾します。
濾さなくともとも大丈夫ですが、ザラザラする口当たりが気になる場合は濾すようにしてください。
「みかん」以外の柑橘類ですと皮が硬過ぎたり、苦味がきつ過ぎてしまいますが、日本の「みかん」を使いますとバランスよく仕上がり、面白いドレッシングになります。
しっかり濾しましたらソースの完成です。
ビネグレットソースを作る
フランス語でフライパンをポワールpoeleと呼び、フライパンで香ばしく焼き上げることをポワレ※と言います。
※ポワレpoeler_フライパンに油脂分を熱して材料を炒め、ブレゼとローストを同時に行うこと。
ポイントとしましては「真鯛」を皮付きのまま焼くこと、何故かと申しますと皮の下にゼラチン質や脂味の部分があり旨味が詰まっていること、白身の淡白な魚を焼くときには皮がガードになって身がパサつきにくくなり、間接的にゆっくり身に火が通ります。
「真鯛」の皮面と身側に軽く「塩」をしてから、香ばしく焼き色を付けるために皮面のみに「小麦粉/強力粉」をまぶし余分な粉を落とします。
「真鯛」を焼く前のポイントとして、焼く30分ほど前に冷蔵庫から出して常温に近い状態に戻しておくことです。
魚が冷たすぎると皮面が焼けていても身の方に火が入りにくくなってしまいます。
フライパンに「オリーブオイル」をひいて熱し「真鯛」の皮面を下にして入れて、強火から中火で焼きます。
魚によっては火を入れると反ってくるものがありますので、その場合は軽く上から押さえてください。こうすることで綺麗な焼き色が付きます。
また、「真鯛」の身が厚いとテクニックが必要となりますので、程よい厚さの魚を選ぶようにしてください。
焼く時のポイントは火の強さです。
焼いていて煙が上がるようでしたら火が強過ぎます。煙が上がらないように中火くらいでじっくり焼きます。
身の周りからだんだん白くなってきますので、ゆっくりと焼き続けます。
皮面から7割から8割を目安に火を入れるようにします。
「真鯛」の周りが白っぽくなりましたら、ごく弱火にします。
焼き具合が心配な場合はヘラなどを使ってひっくり返して確認してください。
焦げなどが付いていなければ、また戻してそのまま加熱をします。
焦らずゆっくり焼き上げてください。
正味5分から6分くらいの焼き時間で非常に良い状態で「真鯛」が焼き上がります。
7割方火が通りましたら、火を止めて「真鯛」をひっくり返して30秒から40秒休ませながらフライパンの余熱で火を入れます。
フライパンから上げてアミに乗せ、そのまま1分から2分さらに休ませて余熱で火を通します。
付け合わせを作る
「真鯛」を休ませている間に付け合わせを作ります。
「ほうれん草」を美味しい軸の部分も一緒に炒めます。
苦手な方は葉の部分だけお使いください。
フライパンに「オリーブオイル」を温めて、「ほうれん草」の根の部分を押すようにしてその部分にしっかりと火が入るようにします。
軽く「塩」をして、香ばしく焼けた部分と生っぽい部分が残っている状態で、大さじ1ほどの少量の「水」を加えます。
この時、根の部分に重点的に火を通します。
これだけの作業で「ほうれん草」の全ての部位を美味しく召し上がっていただけます。
皿にソテーした「ほうれん草」を盛り、その上に休ませていた「真鯛」をのせます。
みかんの「ビネグレットソース」を周りにかけて、お好みで「ハーブ」などを飾ってください。
皮目はカリッと中はしっとり 焼いた真鯛をみかんの爽やかなソースでお召し上がりください〈真鯛のポワレ みかんのビネグレット〉完成です。
材料〈2人前〉
材料 |
真鯛(切身)2切れ/塩 適量/強力粉 適量/オリーブ油 適量/ほうれん草 4株/ベビーリーフ 適置 |
〈みかんのビネグレットソース〉※作りやすい分量 |
みかん 3個/ディジョンマスタ ード 20g/砂糖 15g程度/塩 5g/レモン汁 10g/赤ワインビネガー 10g/米油 50g |
作り方
【下準備】
・真鯛は30分ほど室温に戻しておく。
① みかんはよく洗って皮をむき、実は小房に分ける。皮は20~30秒ゆでて、水気をきる。
② ミキサーに①のみかんの皮と実、<みかんのビネグレットソース>の残りの材料を入れる。なめらかになるまで攪拌し、ざるでこしておく。
③ 真鯛の両面に塩適量を振り、皮目だけに強力粉をまぶして余分な粉を落とす。
④ フライパンにオリーブ油を中火で熱し、真鯛の皮目を下にして入れる。途中で身が反ってきたら、沿っている部分を上からそっと押さえ、真鯛のまわりが白っぽくなってきたら弱火にし、トータルで5~6分焼く。
⑤ 真鯛を裏返し、すぐに火を止めて30~40秒おく。取り出してアミにのせ、そのまま1~2分休ませ、余熱で火を通す。
⑥ ほうれん草はオリーブ油適量を中火で熱したフライパンで炒め、塩少々を振る。まだ生っぽい部分が残っている状態で水大さじ1杯程度(分量外)を加える。フライパンを傾け、ほうれん草の根に水をあてて火をさっと通す。
⑦ 器に⑥のほうれん草を盛り、その上に⑤の真鯛をのせ、まわりにみかんのビネグレットソースを適量流す。ベビーリーフをあしらう。
◆真鯛は室温に もどすことで、中心と外側の火の通りムラを防ぐ。
◆真鯛は皮目だけに強力粉をまぶすことで、皮がパリッと香ばしく焼ける。
◆真鯛は余熱で仕上げることで、身がふっ くらとする。
◆「みかんのビネグレットソース」の砂糖とレモン汁は、みかんの味によって加減する。
◆みかんは皮に香りがある。苦味があるので、ゆでて苦味をやわらげる。
◆「みかんのビネグレットソース」は冷蔵庫で1週間ほど保存が可能。
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