「オトワレストラン」
音羽 創
ほろ苦く甘酸っぱいりんごのサクサクなパイ
口伝
りんごのパイ
キャラメリゼcarameliseした「紅玉りんご」のパイを作ります。
キャラメル風味の甘酸っぱいりんごのパイです。
煮りんごを作る
酸味のあるりんご「紅玉」をカットしたものを用意します。
鍋に「砂糖」と少量の「水」を入れます。
「水」はキャラメリゼするためのものですので、それほど量は必要ありません。
「砂糖」が溶けて色付いてきましたら弱火にします。
少し煙が出てきて心配になるかもしれませんが、ここでしっかりキャラメリゼしておかないと、「りんご」と合わせた時にかなり薄くなってしまいます。
茶色になりましたら火を止めます。
この状態になりましたら、どんどん水分が無くなってキャラメリゼが勝手に進みます。
この時に火を消さないとカラメルになる速度が一気に進んでしまい、失敗する原因となってしまいます。
「カラメル」が黒に近い焦げ茶色になりましたら「レモン汁」を加え、さらに「バター」も加えます。
これで一気に「カラメル」が冷めてキャラメリゼが止まりますので、火を消して「カラメル」と「レモン汁」「バター」がしっかりと合わさるように混ぜ合わせます。
万遍なく混ぜ合わさりましたら「りんご」を入れます。
「紅玉りんご」は、酸味が非常に強く加熱してもその酸味が飛ばないので、砂糖と合わせて加熱したりする料理の場合、私は好んで「紅玉りんご」を使っています。
「りんご」を入れましたら中火にして、全体が馴染みましたら蓋を閉めて1分から2分待ちます。
こうすることによって、「りんご」にしっかり火が通って「りんご」からの水分が出て「カラメル」の方に流れます。
そして「りんご」に火が入った状態で蓋を開いて、今度は水分を蒸発させます。
1分経ちましたら鍋の中を返して、さらに1分待ちます。
2分経ちますと、かなり水分が出ますので、さらに強火にして3分から4分煮て、この水分をしっかり飛ばします。
この時、たまに鍋を傾けて水分の量を確認しながら煮てください。
あまり混ぜすぎると「紅玉りんご」などは角が崩れやすいのでご注意ください。
このように加熱しますと冷凍で保存することができますので、食べたい時にこの「冷凍りんご」を使えば手軽にパイを楽しむことができます。
また、ある程度多めの量で仕込んだ方が失敗も少なくなります。
水分が飛んで濃度がつきましたら火を止めて、バットに流し広げて粗熱を取ります。
クレーム・ダ・マンドを作る
パイの中に入れる「クレーム・ダマンドcream da’ amond/アーモンド・ミルク」を作ります。常温に戻しポマード状にした「バター」に「粉糖」を加えゴムベラで練ります。
「バター」が固いと馴染まないので必ず常温に戻して寝るようにします。
「卵」を少しずつ加えて、しっかりと乳化させながら混ぜ合わせます。
こうしますと焼き上げる際に「バター」が流れ出ることもなく良い状態に仕上がります。ある程度水分が多くなってきますと混ざりにくいので、ホイッパーに持ち替えてください。
冬の時期などは「バター」が固まりやすいので、直火にかけながらしっかり混ぜ合わせて乳化させます。
最後に「アーモンドパウダー」を加えて、再度ゴムベラで均一になるように混ぜ合わせます。
「アーモンドパウダー」が出来上がりましたら、まだ落ち着いていませんので、冷蔵庫で1時間ほど寝かせれば程よい固さになってから絞り袋に入れて使うようにしてください。
1日など長い時間寝かせた場合は、一度ボウルに入れて馴染ませてからお使いになればよろしいかと思います。
パイを焼く
市販の「パイ生地」を4分の1に切ったものを、打ち粉の代わりの「砂糖」の上に乗せて、「砂糖」を「パイ生地」に擦り込むように麺棒などで伸ばします。
この時「パイ生地」を表裏に返して均一に「砂糖」が付くようにしてください。
「パイ生地」に満遍なく「砂糖」が付きましたら、円形のセルクルの真ん中の上に「パイ生地」を乗せ、そこの部分にフォークで穴を開けます。
「パイ生地」の上に「アーモンドクリーム」をひき「煮りんご」を並べて「栗」を隙間に置きます。
「パイ生地」の四隅の角を折り込みます。
190度のオーブンで25分から30分しっかりと焼き上げ、粗熱を取ってからセルクルに切り込みを入れて外します。
キャラメル風味の甘酸っぱい〈りんごのパイ〉ですサクサクの食感をお楽しみください。
材料〈直径8cm10個分〉
材料 |
<煮りんご> <クレームダマンド>※作りやすい分量 冷凍パイシート(20×20㎝)2枚/グラニュー糖 適量/栗の蒸し煮(市販品、甘栗で代用可)24粒/粉糖 適量/バニラアイス 適量 |
作り方
【下準備】
・<クレームダマンド>のバターは室温に戻し、ポマード状にしておく。
・冷凍パイシートは冷蔵庫に移しておく。
・りんごは皮をむき、芯を取り除き、一口大に切っておく。”
① <煮りんご>を作る。鍋にグラニュー糖と水大さじ2を入れ、強火にかける。時々鍋を揺すりながら、グラニュー糖が茶色く色づいてきたら弱火にし、煙が出て濃い焦げ茶色になったら火を止める。
② ①が余熱でさらに濃い焦げ茶色になったら、レモン汁とバターを加える。再び弱火にかけ、キャラメルのダマがなくなるまで木ベラで混ぜて溶かす。
③ りんごを②に加えて中火にし、全体を混ぜたら蓋をして1分ほど蒸し煮にする。蓋を取って上下を返して弱火にし、再度蓋をして1分ほど加熱する。蓋を外して強火で水分を飛ばし、トロミが出てきたらバットに広げて粗熱をとる。
④ <クレームダマンド>を作る。ボールに【下準備】のバターを入れ、粉糖を加えてゴムベラですり混ぜる。溶きほぐした卵を少しずつ加えて混ぜ、途中で泡立て器に持ち替えて白っぽくなるまで混ぜる。冷えて固くなってきた場合はボールを直火または湯にあててゆるめ、アーモンドパウダーを加えてゴムベラでよく混ぜ合わせ、冷蔵庫で1時間ほど休ませる。
⑤ ④を冷蔵庫から出して常温に戻し、ポマード状になるまで混ぜ合わせ、あれば絞り袋に入れる。
⑥ パイシートは正方形に4等分する。台にグラニュー糖を適量を振ってパイシートを乗せ、上からもグラニュー糖を適量振り、表裏に麺棒を軽く転がして一回り大きく伸ばす。
⑦ 直径10㎝のセルクルに⑥を1枚敷き込み、底面をフォークで万遍なく刺す(ピケ)。底面に絞り袋に入れた⑤のクレームダマンドを満遍なく絞り出し(絞り袋がなければスプーンで入れてならす)、③の煮りんごの1/8量を敷き詰める。栗を3粒入れ、生地の四隅を内側に折り込む。残りも同様にする。
⑧ 190℃に予熱したオーブンで、⑦を焼き色がつくまで25~30分焼く。
⑨ 粗熱が取れたらセルクルを外し、器に盛って粉糖を振り、バニラアイスを添える。
◆<煮りんご>と<クレームダマンド>は冷凍保存が可能。
◆セルクルがない場合は、アルミ箔を帯状に折りたたんで直径10㎝の輪に形成してセルクルの代用とするか、生地の四隅を内側に折りたたんで四角になるように仕立てると良い。
料理塾