処暑_令和3年8月23日から9月6日まで
五山の送り火
処暑—夏の盛りでありますが、東雲にはわずかに秋の気配を感じる今日この頃です。八月十六日この夏を惜しむ頃、京都の夏の風物詩「五山の送り火」が京の夜空を照らしました。
先祖の精霊が戻ってきた時に燃やすのが〝迎え火〟で、再び冥府に帰る際に燃やすのが〝送り火〟です。これらは、お盆の行事のひとつで、仏教が一般庶民の間に浸透した室町時代以降に行なわれるようになったものと言われています。
一般家庭では玄関先で行ないますが、京都「五山の送り火」は、この送り火を山に描いてダイナミックなものです。
京都の人は、送り火を点火する際に使う護摩木に名前を書いて厄除けとし、また盃に送り火を映して飲むと中風にならないともされています。
東山如意ヶ嶽の「大文字」が全国的によく知られるために、「大文字焼き」とついつい呼んでしまいますが、「送り火」にはほかに、
松ヶ崎西山・東山「妙・法」
西賀茂船山「船形」
金閣寺付近大北山(大文字山)「左大文字」
嵯峨仙翁寺山(万灯籠山・曼荼羅山)「鳥居形」
があり、正しくはこの五つで京都「五山送り火」という呼称になります。
以前は「い」(市原野)・「一」(鳴滝)・「竹の先に鈴」(西山)・「蛇」(北嵯峨)・「長刀」(観音寺村)などもあったようですが、早くに途絶えてしまったようです。
今年令和三年は、東山如意ヶ嶽の「大文字」が20時に点火されました。
今回の特集は、日本料理特集「プロのお椀」とシェフの知恵「エリンギ」です。
『シェフパートナーズ 料理塾』編輯子 秋山 徹