秋分_令和3年9月23日から10月7日まで
十六夜(いざよい)
秋分—昼と夜の長さが真半分となる彼岸となりました。
もともと彼岸とは物事の境を指します。
世の中がどうであろうと、季節は移ろいその営みが変わることはなく春と秋には彼岸がやってきます。
そして十五夜の満月が美しいことに変わりはありませんが、月を愛でる余裕が人々の心にあるかどうかで、その姿の有り様も変わってきます。
日本人が澄んだ空に浮かぶ美しい月に心奪われるのは古より変わらず、月を詠った歌には秀歌が多いように思います。
中でも有名な歌が、
読み人知らず「月々に 月見る月は 多けれど 月見る月は この月の月」
明恵上人「あかあかや あかあかあかや あかあかや あかあかあかや あかあかや月」
〝月〟と〝あか〟と僅かな言葉を繰り返した見事なこの二歌には、後世の歌人が歯噛みしたのではないでしょうか。
満月は月の美しさの頂点ですが、その〝盛り〟の頂点を愛でると同時に、我々は頂点が陰る儚さ〝名残り〟も楽しんできました。
松尾芭蕉に「十六夜(いざよい)はわづかに闇の初めかな」という句があります。
満月の十五夜の次の夜のほんの少しだけ欠けてしまった月を〝いざよい「十六夜」〟と呼び、この時期の季語となりますが、この「いざよう(猶予)」には〝とどまる〟や〝ためらう〟という意味があり、十五夜よりも僅かに遅れて出てくる十六夜の月が出るのを心待ちにする様を表しています。
令和三年の十五夜は9月21日でしたが、ゆっくり月をご覧になりましたか。
今回の特集は、フランス料理特集「マヨネーズを使った一皿」「タルタルソース添え」とシェフの知恵「マヨネーズの作り方」です。
『シェフパートナーズ 料理塾』編輯子 秋山 徹