清明_令和6年4月4日から令和6年4月18日まで
雁風呂(がんぶろ)
この季節、燕は南からやってきますが、雁は北へと旅立ち、空では渡り鳥たちが交差します。
雁は初冬にシベリア方面からやってくる時、一本の枝を咥えており。
この枝は、雁が海を渡ってくる途中、海に浮かべて羽を休めるために使ったものとされました。
冬、渡ってきた時にこの枝を浜辺に置いて、春、北へ帰る際には再びこの枝を咥えて行くのだとか。
しかし、雁が飛び立った浜辺に幾本かの枝がそのまま残っています。
残ったこの枝は、冬の間に死んでしまった雁たちのものです。
「雁風呂」は、青森県外ヶ浜の人たちが浜辺に残った枝で風呂を炊いて雁を供養したと伝えられるものです。
春の季語ともなっており、高浜虚子に「雁風呂や海あるる日は炊かぬなり」があります。
また、落語に三遊亭圓生が十八番とした『雁風呂』という噺や、「1974年サントリー角瓶CM」のテーマにもなりました。
人は自然と共に生きている。そして、自然界の同胞として雁を供養する。
この心根は失いたくないものですね。
今回の特集は、クレソン料理特集「クレソンを添えて」とシェフの知恵は「鴻雁北 蕨編」です。
『シェフパートナーズ 料理塾』編輯子 秋山 徹