半夏生_令和元年7月1日から7月6日まで
夏至(げし)の末候は〈半夏生/はんげしょう〉です。
「半夏/からすびしゃく」が咲くこの時候を云います。
半夏は花の咲くこの時期にだけ葉が白くなり、そのあとはまた緑に戻るため「半化粧」「半白草」とも呼ばれます。
また農家では、この時候までに田植えを終えるようにしていました。
これを過ぎるとと田圃の米の収穫は半分になってしまうとされ、半夏半作(はんげはんさく)・半夏半農(はんげ はんのう)とも云われていました。
半夏生鯖/はんげっしょさば
半夏生は7月1日から6日の期間を云いますが。
昔から、奥越地方(福井県)では夏至から11日目にあたる7月2日に〈半夏生鯖〉といって丸ごと焼いた鯖を食べるそうです。
この風習は、大野藩の藩主が領民に、田植えで疲れた身体を癒し、暑い夏を乗り切るために配ったのがいわれとされていて、今では夏バテ防止のスタミナ食として福井県内で食べられているそうです。(福井県観光協会)
鯖は、成人病や老化防止に有効なDHAやEPAを多く含み、ビタミン群も豊富なため田植え後の体を癒すに最適なものでした。
半夏生餅/はげっしょもち
また大和地方の奈良県では、やはり7月2日に〈半夏生餅〉と呼ばれる餅を食べる風習がありました。
半夏生餅は別名「さなぶり餅」とも呼ばれ、「さなぶり」の「さ」は田の神様。「なぶり」は、昇を表現した言葉といわれて います。
田植えを終えた農家の人たちが無事農作業を終えたことを、田の神様に感謝し、お供え物をして共に食したことが由来と言われています。(香芝市公式サイト)
この頃にまとまって降る雨は「半夏生雨」と呼ばれ、これは無事田植えを終えたことを見届けた〝田の神様〟が天に帰〈昇〉っているのだと考えられました。
いにしえより餅は五穀豊穣と神の〝象徴〟であり供物でした。
そして農家にとって苗の植わった田圃に注ぐ雨は、天からの〝めぐみ〟そのものです。
日本各地に残る風習の多くは、農作にかかわる感謝にまつわるものがほとんどです。
半夏生「蛸の日」「うどんの日」
関西地方では半夏生に豊作を祈願して〈蛸〉を食べる習慣がありました。
これは、農作物が蛸の足のように大地に根を張るという願いが込められたものでした。
また蛸も、アミノ酸のタウリンを豊富に含むなど農作業での疲労回復に効果がある食材として食べられたものです。
この時期、ノンオイルドレッシングで夏バテや健康にも良い「タコとそら豆のサラダ」の料理をぜひお試しください。
料理塾担当は、「分とく山」野﨑料理長です。
ノンオイルドレッシングについても次回の特集でご紹介いたします。
そして讃岐地方(香川県)では、半夏生に〈うどん〉を食べる風習があります。
これも、鯖や餅、蛸と同じように疲れた体に滋養をつけ、その年に取れた麦でうどんを作り神に感謝を捧げたものです。
7月2日はそれぞれに「蛸の日」「うどんの日」とされていますが、どちらもこの半夏生の風習を由来としているものです。
そのほか地方によっては、半夏生の7月2日から5日間農作業を休む風習もあったそうです。
『シェフパートナーズ 料理塾』編輯子 秋山 徹