秋分_令和元年9月23日から10月7日まで
秋分の日は春分の日同様、昼と夜の長さがちょうど同じになります。またこの日を中日とする前後を含めて1週間が「彼岸」となります。この間に寺院では「彼岸会」の法要が行われ、一般家庭でも仏壇に「お萩」を供え、墓参りをして祖先を供養します。
彼岸餅_〝お萩〟と〝牡丹餅〟
彼岸餅は、春の彼岸餅が〝牡丹餅(ぼたもち)〟秋の彼岸餅が〝お萩(はぎ)〟と、その時候を代表する花の名で呼ばれます。
現在では、春と秋という季節で区別して〈粒餡(つぶあん)〉であろうが〈漉し餡(こしあん)〉であろうが、はたまた〈白餡(しろあん)〉であろうが、〝牡丹餅〟か〝お萩〟のどちらかで呼ばれます。
しかし本来は、その年の秋に収穫した小豆で作った〈粒餡〉の彼岸餅を〝お萩〟と呼び、年を越した春に収穫から時間の経った小豆を〈漉し餡〉にして作った彼岸餅を〈牡丹餅〉と呼ぶそうです。
昔の保存技術では、秋に採れたてのみずみずしい新小豆は粒を残した餡で、年を越した春の小豆では濾した餡で、彼岸餅を作るしかなかったのでしょう。
保存技術の発達した現代では、春にも秋にも〈粒餡〉〈漉し餡〉をいただくことができますので、名前の明確な区別がつき辛くなりました。
しかし、〈粒餡〉の粒粒した表情は、つるりとした牡丹の花に見立てるには違和感があり、ここはやはり〈漉し餡〉がふさわしいでしょう。
〝お萩〟と〝牡丹餅〟のように、流通や保存、作法技術の進歩により、旬に限らず一年中手に入る食材が増えてきました。
調理方法もそれに伴って変化しているのでしょうが、旬の食材が持つ本来の力は維持されているのでしょうか。
『シェフパートナーズ 料理塾』編輯子 秋山 徹