啓蟄_令和5年3月6日から令和5年3月20日まで
菫の花咲く頃
啓蟄_冬の間、地中に眠っていた生命力が地上に顔を出す季節です。
この季節に、道端で春を告げるように咲く野草が〝菫/すみれ〟です。菫は野の花でありながら清楚な印象を与える姿で、その名も菫色と呼ばれる深い紫は春の訪れを告げるに相応しい色です。
その濃い紫の花は一見可憐なように見えますが、寒暖に関係なく日本各地、北海道から屋久島にまで咲く姿を見ることができる丈夫な花です。
また、二本の茎を絡めて引っ張り合って勝負するという子供の遊びに使われたため〝相撲取花〟という、その姿からは想像できない異名もあります。
春の野に すみれ摘みにと 来しわれそ 野をなつかしみ 一夜寝にける—山部赤人
〈春の野に菫を摘みに来たが、あまりの心地よさについひと夜を過ごしてしまった〉
と、『万葉集』にあり。古より日本人に愛でられていたことがわかります。
今回の特集はアスパラガス特集「アスパラガスを食す」とシェフの知恵は「蟄虫戸啓 アスパラガス編」です。
『シェフパートナーズ 料理塾』編輯子 秋山 徹