寒露_令和3年10月8日から10月22日まで
酒の肴
寒露—露冷えて大気が澄んで月がくっきりと見えてくる季節となりました。
秋分を過ぎて日の暮れるのもあっという間で、夕空が茜色に染まったかと思うと釣瓶落としのように真っ逆さまに闇夜が訪れます。
秋の夕暮れにはまた、釣瓶落としのごとく熱燗が一気に恋しい心持ちになるものです。
そこで、今回の特集は山﨑美香料理長の『江戸前の肴』となりました。
この「肴(さかな・コウ)」という漢字の成り立ちは、文字の上の部分の〝メ〟が骨を意味し、魚だけではなく鳥獣漁肉〝骨の有る肉〟全てを指していました。それが、国語で〝酒に添えるつまみのもの。馳走のもの〟と変化したものです。
「菜」の字は、艸(くさ)と采(=草木を採集すること)からなり、〝艸の喰らうべきもの〟で野菜を指しますが、これが国語で食材全般を指すようになりました。
(肴・菜ともに『字通』白川静/平凡社より)
そこで、国語では酒のアテになる菜ということで〝酒菜(さかな)〟と当てることもあるようです。
国語の〝菜〟を当てる字には他に〝蔬菜(そさい)=野菜〟〝真菜(まな)=真の菜で魚〟などがあり、俎板(まないた)に〝真菜板(まないた)〟〝蔬菜板(そさいいた)〟と当て、魚用と野菜用の俎板を分けていたという説もあるそうです。
これは俎の板の前で調理をする〝板前〟さんに聞きました。
今回の特集は、日本料理特集/山﨑美香料理長の「江戸前の肴」とシェフの知恵は飯田徹也シェフの「上海風 大根のお漬け物」です。
『シェフパートナーズ 料理塾』編輯子 秋山 徹