穀雨_令和3年4月20日から5月4日まで
春暁
穀雨—穀物には恵みの雨が降る時候です。
「春眠暁を覚えず」という言葉があります。
〝春の暖かい陽気の朝は気持ちよくてつい寝坊してしまう〟という風に理解されていますが、しかし本来の意味は少し違っているようです。
唐の孟浩然(もうこうねん)の「春暁」という五言絶句に由来するこの言葉は〝春の朝が明けたことに気付くことなく眠ってしまっていて、暁を楽しむことができなかった〟と詠っています。
我が国の清少納言の「枕草子」の冒頭に「春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山際、少し明かりて、紫だちたる雲の細くたなびきたる。」とありますように、〝春は明け方の、だんだんと白くなっていく山際が少し明るくなり、紫がかった雲が細くたなびくさまが良い〟のを愛で楽しむもので、「春眠暁を覚えず」は、この楽しみを逃してしまい惜しいことをした、ということになりましょうか。
近頃、朝日が差すのは早いのですが、寒の戻りが厳しくて清々しい朝とはいかず、寝床から出るのがまだまだ辛いときです。
今回の特集は、フランス料理特集「フレンチ王道の魚料理」と中華料理特集「中華点心」の2本立と、シェフの知恵「 虹始見 鯛編」です。
『シェフパートナーズ 料理塾』編輯子 秋山 徹